遺産相続

1.絶対にやらなければならない手続き

 

相続が発生した際、行わなければならない手続きは少なくありません。なかには、期限が定められた手続きもあり、期限を過ぎると、メリットになる特例を受けられなくなったり、ペナルティーを科せられる可能性もあります。相続は、そう何度も経験するものではありませんから、何から始めてよいか、どのように進めてよいか戸惑う人が多いでしょう。しかし、行わなければならない手続きは、待ってはくれません。まずはできるだけ早い段階で、相続にかかわる手続きのスケジュールを組み、相続手続き全体を把握しましょう。その上で、どのようなことをいつまでにやらなければいけないのかを判断し、手続きの漏れを防ぐように心がけましょう。

 

1 遺言書を探しましょう

はじめにやらなければならないのは、遺言書を探すことです。

遺言書は、亡くなった方が相続人、あるいは亡くなった方の親しい友人などに宛てて、「今までお世話になった方に恩返ししたい」「財産をめぐって争いが起きないように、あらかじめ決めておきたい」などの理由から作成し、残すものです。

法律は亡くなった方の意思を優先します。

遺言書の内容はとても重要です。

「遺言書なんて残しているはずない!」そう思い込まず、まずは一度、探してみましょう。遺品を整理していたら思わぬところから出てきたという話も、決して珍しくありません。

遺言書が見つかったら、中身をあらためる前に、まずは専門家に相談してください。

勝手に開封すると、内容を破棄・改ざんしたり、ニセモノだと主張されて争いに発展したりするケースもありますから、くれぐれも注意が必要です。

 

2 相続人がだれか、確認しましょう

相続人がだれかを確認する作業は、今後の手続を行う上で、とても大切なステップとなります。

相続人がだれかは、法律で決められています。血がつながっている家族ならだれでも相続人になれるかというと、そうではありません。

相続にともなう名義変更などの手続を行う際には、相続人全員の書類が必要になります。また、次にお話しする「遺産分割協議」を行う際にも、相続人全員の参加が求められます。

 

 

3 財産がどれくらいあるか、確認しましょう

亡くなった方の財産がどれくらいあるか、生前から把握している方は、決して多くないと思います。

思わぬ財産が出てきてビックリすることも、その一方で、多額の借金が見つかることもあるかもしれません。

相続人が引き継ぐのは、プラスの財産だけではありません。マイナスの財産(=借金)についても相続人が引き継ぎます。

理不尽だと感じるかもしれませんが、法律上、これは仕方のないことです。

 

◆相続放棄について

とはいえ、亡くなった方のマイナスの財産(=借金)がかなり高額で、とても払えそうにないと感じる場合もあるでしょう。

この場合、「相続放棄」といって、亡くなった方のプラスの財産を一切相続しないことを条件に、相続人にならないよう手続することもできます。

ただし、この手続は亡くなった方の相続人であることをご自身が知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。

この時期は、お葬式後の対応や四十九日の準備などで、何かとあわただしいことと思います。精神的なストレスも大変なものでしょう。

万が一のときには、司法書士などの専門家の意見を聞きながら、できるだけ早い対応を心がけましょう。

 

4 遺産分割協議を行いましょう

「遺産分割協議」とは、亡くなった方の財産を相続人にどのように分配するか、話し合うこといいます。

分割方法は、原則、自由です。いつまでにやらなければならないといった制限もありません。

ただし、相続人全員が参加(その場に居合わせなくても大丈夫ですが、自分の意思を示す必要はあります)しなければならないという条件があり、一部の相続人だけで勝手に協議した場合、その協議は無効となります。

なお、遺産分割協議の内容は、文書化する必要があります。なぜなら、今後、相続人同士で「言った・言わない」などの争いを防ぐだけでなく、その後の各種手続のための必要書類となるからです。

遺産分割協議はできるだけ早めに行うことをおすすめします。

 

5 預金口座を確認しましょう

亡くなった方の死亡の事実が確認されたら、金融機関は、預金口座や貸金庫などのすべての取引を停止(凍結)します。

いったん取引が停止(凍結)されると、相続手続(遺産分割協議)が終了するまでの間、預金の引き出しはできなくなります。当面の生活資金や葬儀代金などの支払いで困らないように、事前に対策を講じておきましょう。

なお、この間、口座振替もストップします。自動引き落としとなっていた電気・ガス・水道などの公共料金の支払い方法も変更しましょう。同時に、契約者の名義変更も済ませておきましょう。

 

※金融機関によって取り扱いが異なる場合がありますので、詳細は各金融機関にお問い合わせください。

 

6 その他

これらの他にも、やらなければならない手続はたくさんあります。

すべての手続をすみやかに行うのはむずかしいと思います。慣れない手続にストレスを感じることもあるでしょう。

わからないこと、不安に思うことは、司法書士などの専門家の意見を聞きながら、ひとつずつ解決していきましょう。